Day 25: 教科書を全国に配布することの難しさ
◾️10年前◾️
青年海外協力隊の化学教員としてとある村の中学高校で、授業をしたり、理科の先生たちに科学実験のやり方や授業での指導方法を教えたり、先生や生徒と一緒に構内の寮生活を楽しみつつ(暇をつぶしつつ)、生徒の宿題を手伝ってあげたりして感じたこと
1)生徒に一人一冊、教科書があれば・・・
2)せめて、生徒が一教科一冊ノートを持ってこれたら・・・
3)教科書の内容が正しければ&系統性があれば・・・
4)子どもの発達段階、思考過程に合わせた教材・指導ができれば・・・特に理科は、小学校の内容はすごく簡単なのに、中学校になると急に難しくなる(日本の高校レベル)
5)先生は、なぜ授業(学校)にこないのか・・・
などなど。
一人の隊員が解決できることではなく、州や国全体を俯瞰して、課題解決を図りたいと考え専門家を志した。
◾️今◾️
これらの課題を解決するのは、一筋縄ではいかないと知った。
1)教科書配布の問題を例にあげると・・・
ザンビア教育省の統計(2014)上、小学校では英語・算数の教科書が4人に1冊あることになっている。
足りないなら、援助機関の財政支援で、教科書を全国配布すればよいと考える。
教科書配達には、教科書会社⇄教育省⇄県教育局⇄市町村教育局⇄学校⇄子ども と様々な関係機関と連携して、必要冊数の報告・データ収集・発注、運送手配・受領確認など多くのステップが必要となる。
上流のどこかが途切れてしまうと、残念ながら、そこから先には決して運ばれない。
さらに、ザンビアは日本の国土の2倍!交通手段は陸路(悪路)!!
地方部では、インターネット回線もなく、頼るは電話のみ(電気があれば)。
多額のお金をかけて支援した教科書、理科実験器具、PC機材などが学校には届いておらず、州や郡教育局の倉庫に山積みになっているという話もよくあるもの。万が一、学校に届いても、図書館に鍵をかけて保管されていたり、理科室で埃をかぶっていたりする。
A: この問題を解決するためには、どんな支援が適切か。
Q: ここで必要とされるのは算数や理科の専門性ではない。地方行政の仕組みを改善したり、配達状況追跡の仕組みを検討したり、学校で教材を使ってもらう工夫をする必要がありそうだ。
A: 日本ではどうやっているんだろう?と参考にしてみる。
Q: 調べてみる。世の中そうじゃない国の方が多いのに仕組みがちゃんとしすぎていて、これ(↓)をそのまま参考にはできない。
どう改良したら現地の国でも導入できるのか、
もしくは全く違う方法が必要なのか、
日本以外の国はどんな仕組みをつかっているのか、
現地関係者と一緒に検討し、その考える過程(人材育成)も大事にしながら、日々の業務を進めていく。
そんな悠長にやっている場合じゃないとの意見も然り。
現場も日々もやもやしながら、時に深く話し込んだりしながら、進んでいく。
(ザンビアでは、教科書ではなく教師教育を支援中)
◾️6年前◾️
東南アジアの日本人学校で働いているときには、現地の農村・山岳部ではおそらく学校に通うことも難しい子どもたちがいる中、はるばる海を渡り新学期に間に合うように、真新しい日本の教科書が毎年学校に届くことに、本当に感心した(自嘲も含め)。
日本から教材・教具も買い付けていたので、本当にもうなんだかな・・・楽させてもらったなと、申し訳ない気持ちになる。
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とにかく教育の課題といっても、いろーーーーーんなことがあって、たくさん学び、経験しなければいけないと2年前から気づき始めていたが、今、現地で実感を伴う。
明日は帰国協力隊員の報告会なので、原点に立ち返りみえるものがあるといいな。